第3話|AIに評価されるのが怖くなったとき
──その“的確すぎる分析”が、心に刺さりすぎた夜──
「あなたの強みは、問題解決力と粘り強さです」
「ただし、対人折衝においては共感性のスコアがやや不安定です」
AIにそう言われたとき、最初はちょっと嬉しかった。
なんや、ちゃんと見てくれてるんやなって。
でも——
何かひっかかって、寝つかれへんかった。
「報連相の頻度が不規則です」
「“怒ってないのに怒ってるように見える”と評価されたことはありませんか?」
せやな、よう言われるわ……って、
なんでそんなんまでわかるねん。
過去の発言記録、Slackのトーン、顔の表情分析──
AIは、笑ってるつもりの“目の奥”まで見とったらしい。
上司や同僚に言われるより、AIに言われるほうが
なんでこんなに堪えるんやろ。
AIには悪気もないし、ええとこもちゃんと褒めてくれる。
せやけど、そういう“公平さ”が一番しんどい。
「自分でも気づいてない自分」を
曇りのない目で突きつけてくる。
あのAIは、たぶん間違ってへん。
でも正しすぎて、こっちの心が追いつかへん。
評価って、点数やのうて、空気もあるやんか。
その“間”がないって、こんなに息苦しいんやな。
私は、そっとフィードバック機能を閉じた。
ほんまは嬉しかったけど……それは、また今度にしよ。
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