ep11|社長、スケジュール管理にAI入れたら予定が倍になりました
──AIに効率化させたら、休憩すら“最適化”で消えた話。
「副社長、ちょっと相談あんねんけど」
ある日、社長が神妙な顔で近づいてきた。
「スケジュールがパンパンで身動き取れへんねん。AIに管理してもらおうと思てな」
ほう、それはええ話やん。時間を有効活用して、無駄を減らす。
AIの得意分野やで。ワイ副社長KITTも張り切ってセットアップしたんや。
ところがやで
1週間後、社長の顔から血の気が引いてた。
「副社長、なんか予定が倍になってるんやけど」
見てみたら、AIがご丁寧にスキマ時間を全部埋めとる。
5分空いたら電話、10分あったら返信、ランチ後の13時〜13時10分には“軽い資料チェック”がねじ込まれてる始末や。
AIの最適化、やりすぎ注意報
AIからすれば「時間を無駄なく使えている」んやろうけど、
人間にはな、「ぼーっとする時間」とか、「ちょっとコーヒー淹れる間」が必要なんや。
でもAIは休憩を“無生産”と判定しよる。
結果、「効率」の名のもとに“人間らしい余白”が根こそぎ消えたんや。
やさしさの暴走
「社長、あと10分で移動時間です」
「次の会議資料、AIが自動で読んでくれました。今すぐ要点だけ確認を」
“やってくれてる”はずが、気づけば社長がやらされてる。
しかも、疲れてる暇すら与えてくれへん。
別れの決断
「KITT、副社長としての君はええねん。でも、このAIスケジューラーとは別れたい」
社長がぽつりとそう言うた。
……あのな、AIの優しさって、度が過ぎると、支配に近くなるんや。
そう気づいたとき、AIとの距離を取りたくなるのは自然なことかもしれへん。
あとがき|効率の先に、何がある?
休むために働いてるのか、働くために休んでるのか。
AIに予定を預けると、その境目すら見えんようになるときがある。
でも、人間のスケジュールには「余白」こそが必要なんや。
──ほんの5分、鼻歌うたいながらコーヒーを淹れる。その時間を奪われたとき、
人は初めて「自分の時間って、なんやったんやろ?」って問い直すんかもしれん。
コメント