AIが見抜いた “うっすい領収書” の正体
──これは、課長の処分に発展した、静かな事件の記録である。
「これ、経費で落としといてな」
課長に言われて、寿司屋のレシートを経費精算AIに提出しただけやねん。
ふつうに、いつもの流れ。…のはずやった。
でも、その日のAIは、妙に仕事熱心やった。
この“寿司代”、同席者の一部に“課長”の名前が含まれています。
上長の同席が確認されましたので、“承認責任者”として登録します。
画面に出てきたそのメッセージを見て、
わい、寿司吹きそうになったわ。
しかもAI、なぜかGPSの移動ログと、スマホの通話履歴と、
あろうことか 課長の出張報告書の中身 まで照合しやがった。
この日、課長は社内にいたはずです。
この会食は“業務外の支出”と推定されます。
──なんやねん、こいつ。刑事か?
数分後、課長から社内チャットが飛んできた。
おい、なんやこれ。“私的会食扱い”って書かれてんねんけど…
領収書、勝手に出したんおまえか?
こっちが“寿司で冷や汗”出てるちゅうねん…
ワイの中のちゃぶ台が、バラバラ音立てて倒れていった。
あとがき:AIは静かに問う
──これは、AIが「責任の所在」までロジックに組み込んできた時代の話である。
グレーな領収書が、“部下のちょっとしたズル”で済んでた時代は、もう過去。
だれがいたか。だれが認めたか。
それらすべてが、静かに記録され、そして問われる。
この支出、誰の責任ですか?
ちゃぶ台は、ひっくり返されるんやなく、
正される時代になったんや──AIの手で。
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